最近、ビジネスは化学反応であると、強く思うことがありました。
クライアントに新しい技術のご紹介をしたのですが、その基本的な契約の為に技術を提供するほうの社長がわざわざお見えになった、その会議での話です。社長は、クライアントを気に入ったようです。大事なことですが、人間はやはり好き嫌いがあるものですから、こういう場合、嫌われたらもうダメです。どちらかというと「気難しい」ほうの社長でしたから、私としてはホッとしたスタートです。
始め良しなら、何もかも順調です。「どうぞお使いください。もっと広範囲に適用しても結構です」。思いもしなかったような好条件で契約が出来るとなって、こちらも上機嫌です。そして、契約の条文について一通りの打ち合わせの後、雑談の中で、とてつもない話が飛び出したのです。聴いていた私は、まさに「化学反応」の現場に居合わせたのでした。
最初、お願いした技術提携の分野とは別に、双方が思いもしなかった分野にも、この技術が活かせることが分かったのです。(詳細については守秘義務があるので書けません。ゴメンナサイ)雑談の何気ない話の中で、ちょっとした言葉の端に引っ掛けたことで、一気に新しい分野への応用が見えたのです。誰も気付かなかった新しい分野。そうです、同じ技術なのに、全く新しい分野での新しいビジネスが創造されてしまったのです。
異業種の二社を二つの物質AとBに例えましょう。始め、このAとBは単に混合するだけの話でした。しかし、ちょっとした切っ掛けで化学反応が起ったという訳です。結合する際に物質自身の変化も起ってしまった訳で、新しい物質が生まれたのと同じ現象、つまり化学反応が起ったのです。
今までも、このようなことがあったのですが、「化学反応」と意識したことはありませんでした。それだけ、この話は劇的です。知財化してはいるものの、誰が見ても材料としての二社の経営資源は常識的なものです。それが、誰も想像できなかった分野に展開し、しかも新たな知財も出願できそうです。これを化学反応と言わずに何と言うのでしょうか。
とてもシアワセな気分で飛行機に乗りました。「化学反応、カガクハンノウ…」呟きながら、ハッとしました。そうです、もう20年も前の話ですが、中小企業の異業種交流を促す行政官が、「キャタライザー(触媒)の役割」と言っていたことを思い出しました。異業種交流の中で、新しいビジネスを創造するには触媒的な人材が不可欠だと言っていたのを思い出したのです。
キャタライザー(触媒)の役割。それは、プロデューサーと同じ役割です。
皆さん、知財をちゃんと出願したら、このお話の全部をお聞かせしますからね。
お楽しみに…。いっひっひ。